
取材日:2026年7月6日
① 「品質は無言のセールスマン」白いシャツを支える山喜の現場力
② 石けんを8等分?山喜がバングラデシュで磨いた品質づくり
③ただのシャツではなく、山喜のシャツをつくる。老舗メーカーの挑戦

山喜株式会社
代表取締役社長 営商部門 部門長 野瀬和良様
取締役(監査等委員) 中田一裕様
その他学生後述
| 業種 | 繊維製品 |
| 本社所在地 | 大阪府大阪市中央区上町1丁目3番1号 |
| 市場区分 | 東証スタンダード |
| 銘柄コード | 3598 |
| 現在価格 | こちら |
今回の取材担当は大阪国際大学4年 藤山友汰です。よろしくお願いします!
学生にとって、シャツはとても身近な服です。
就活、アルバイト、入学式、発表会。
きちんと見せたい場面で、シャツを着る人は多いと思います。

提供:山喜(株)
山喜株式会社(以下山喜)は、ドレスシャツやカジュアルシャツを中心に、企画・製造・販売を行う会社です。
百貨店、量販店、ロードサイドの洋服店など、さまざまな売り場を通じて商品を届けています。
企業理念・グループミッション
最大の企業たらんより、最良の企業たれ
山喜さんがどのような会社なのか教えていただけますか?
山喜は、創業から80年ほどになるシャツメーカーです。ドレスシャツやカジュアルシャツを作り、販売しています。百貨店、ロードサイドの洋服店、大手量販店などに商品を届けています。
私たちが普段見ているシャツ売り場の裏側に、山喜さんの商品づくりがあるんですね。
そうですね。国内にも工場がありますし、海外にも協力工場があります。国内では長崎、鹿児島、郡山、新潟に工場があります。海外ではラオスの自社工場や、バングラデシュなどの協力工場と一緒に生産しています。
シャツメーカーの仕事は、布を縫って終わりではありません。どの売り場で、どのような人に、どんな場面で着てもらうのか。そこまで考えて商品をつくる必要があります。

提供:山喜(株)
山喜の話で特に見えてきたのは、「品質」を支える現場の細かさです。
その象徴として出てきたのが、バングラデシュでの生産の話でした。
白いシャツをきれいに届ける難しさ
白いシャツは、少しの汚れでも目立ちます。
学生にも身近な例でいうと、白いスニーカーの汚れに近いかもしれません。
新品の白さを保つには、作る場所の環境まで整える必要があります。

提供:山喜(株)
バングラデシュでの経験が大きかったとおっしゃっていました。
どのような点が大変だったのでしょうか?
白いシャツを作るのは、本当にリスクがあります。少しでも汚れがつくと、商品になりません。だから、手を洗うことから徹底する必要がありました。
縫う技術だけではなく、手洗いまで品質に関わるんですね。
そうです。最初は石けんを置くことも簡単ではありませんでした。持ち帰られたり、転売されたりする心配があったからです。そこで、石けんを8等分して、網の袋に入れて水道につけました。
石けんを8等分ですか。現場で続けられる仕組みに変えたということですね。
そうですね。大事なのは、現場で続く形にすることです。汚れ、目とび、糸くず。この3つを徹底して管理しました。

提供:山喜(株)
ここで大切なのは、「石けんを8等分したこと」そのものではありません。
品質を守るために、現場の事情に合わせて仕組みを作ったことです。
日本で当たり前に見える品質も、海外生産では一つずつ整える必要があります。手洗い、作業場の管理、出荷前の確認。
その積み重ねが、白いシャツをきれいな状態で届ける力になります。
山喜の品質への考え方を表す言葉として、企業担当者は「品質は無言のセールスマン」という言葉を紹介します。
営業担当者が説明しなくても、商品そのものが信頼を伝える。
そんな考え方です。

提供:山喜(株)
お取引先から山喜さんが選ばれる理由は、どこにあるのでしょうか?
やはり品質ですね。山喜は昔から、品質に対して厳しい会社です。「品質は無言のセールスマン」という言葉もあります。
商品そのものが、会社の信頼を伝えるということですか?
そうです。バングラデシュでも、上海でも、ラオスでも、どこで作っても日本向けの品質を担保する。それを当たり前としてやってきました。
価格だけではなく、安心して任せられることが強みになっているんですね。
そうですね。品質を安定して届け続けることが、取引先からの信頼につながっています。

提供:山喜(株)
シャツは、見た目がシンプルな商品です。しかし、シンプルだからこそ違いが出ます。襟の形、縫い目、汚れの少なさ、洗った後の扱いやすさ。一つひとつの小さな差が、着る人の満足につながります。
山喜の強みは、派手な言葉で説明されるものではありません。毎日着る服を、当たり前にきれいな状態で届ける。
その裏側にある現場力が、信頼を支えています。

取材の様子
山喜がこれから力を入れようとしているのは、ビジネスシーンで着られる服です。すべての分野に広げるのではなく、自社の強みが活きる領域に集中しようとしています。

提供:山喜(株)
シャツにも、食品の賞味期限のようなものはあるのでしょうか?
あります。特にカジュアルは「足が速い」という言い方をします。シーズンを逃すと、売れにくくなることがあります。
ドレスシャツは定番に見えますが、それでも在庫の考え方は大事なんですね。
そうです。これまで山喜は「シャツのトータルサプライヤー」を掲げてきました。でも、今は事業領域を絞る必要があります。勝てる土俵で勝負する、ということです。
何でも作る会社ではなく、得意な場所で価値を出す会社になるということですか?
そうですね。山喜は、ただのシャツを作って売る会社ではいけない。山喜のシャツを作って、山喜のシャツを売る会社になろうとしています。
価格だけで比べられる商品ではなく、価値で選ばれる商品をつくる。
そのために、ビジネスウェアという得意な領域に力を入れようとしています。

提供:山喜(株)
山喜は、海外での生産経験を持っています。一方で、海外で販売することは、生産とはまったく別の難しさがあります。
海外生産のノウハウがあるなら、海外販売もすぐにできそうだと思いました。
それでも簡単ではないのでしょうか?
生産と販売は違います。海外で日本のシャツを売るのは、簡単ではありません。ヨーロッパにはシャツの長い歴史があります。
「メイドインジャパン」だけでは、すぐに選ばれるわけではないんですね。
そうですね。機械などの分野では、日本製が強い場面もあります。でも、アパレルではそれだけでは難しい。だから、日本の技術や素材の良さを組み合わせて伝える必要があります。
山喜さんの設計力と、日本の機能素材を合わせるということですか?
そうです。山喜はシャツの設計からできます。そこに、日本の素材メーカーの技術を組み合わせる。そうすれば、海外でも通用する商品を作れる可能性があります。
海外展開は、「日本で作ったから売れる」という単純な話ではありません。その国の文化、服の歴史、着る人の価値観があります。
そこに合う形で、山喜ならではの価値を伝える必要があります。

提供:山喜(株)
山喜が目指しているのは、作れる会社から、提案できる会社への進化です。シャツを作る力に加えて、どんな価値として届けるか。
その部分が、これからの挑戦になっています。

野瀬様よりメッセージ

野瀬様よりメッセージ色紙を頂きました!
以上、山喜株式会社(銘柄コード:3598)の取材報告でした!
レポーター:甲南大学 4年 北田大夢
「メイドインジャパンがどの業界でも強いわけではない」というお話が特に印象に残りました。日本製というブランドだけに価値を見いだすのではなく、それぞれの国や市場のニーズに合わせて製品や販売方法を考えることが重要であると学びました。企業が海外で成長し続けるためには、固定観念にとらわれず、柔軟な視点を持つことが大切なのだと感じました。
レポーター:大阪国際大学 4年 藤山友汰
山喜さんの取材で特に印象に残ったのは、海外生産に早くから挑戦していたことです。右も左も分からない状況から、現地で品質管理の仕組みを一つひとつ作り上げてきたという話を聞き、山喜さんの歴史と挑戦する姿勢を強く感じました。現在、シャツ業界には向かい風もあるかもしれませんが、これまで困難な環境の中でも挑戦を続けてきた山喜さんであれば、これからも変化に向き合い、乗り越えていくのではないかと感じました。
レポーター:阪南大学 2年 番匠一葉
今回の取材を通して、海外市場で事業を展開し続けるためには、日本企業というブランドだけに頼るのではなく、それぞれの国や市場に合わせて柔軟に変化していく姿勢が重要であることを学びました。特に、「メイドインジャパンがどの業界でも強いわけではない」というお話は非常に印象的で、固定観念にとらわれず市場を見極めることの大切さを感じました。また、バングラデシュ駐在時代のお話からは、海外ならではの困難な環境の中でも経験を積み重ね、その経験が現在の経営につながっていることを知り、挑戦し続けることの価値を実感しました。今回の取材を通して、グローバルに活躍するためには柔軟な発想と変化を受け入れる姿勢が不可欠であることを学ぶことができました。
取材協力:山喜株式会社
取材レポーター:北田大夢(甲南大学 4年)
藤山友汰(大阪国際大学 4年)
番匠一葉(阪南大学 2年)
取材記事担当 :藤山友汰(大阪国際大学 4年)
取材SNS担当 :平川湧斗(甲南大学 4年)
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