(株) ケー・エフ・シー【3420】

提供:(株)ケー・エフ・シー

取材日:2025年5月22日

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多角的な事業展開と業界トップシェア
独自技術と特注品による安全性向上のこだわり
建設業界におけるDX・ICT化の現状と課題への取り組み

株式会社ケー・エフ・シー
経営企画部長(兼)DX推進部長 佐竹辰州様
他学生メンバー(後述)

業種
金属製品
本社所在地
大阪市北区西天満3-2-17
市場区分
東証スタンダード
銘柄コード
3420
現在価格

 

伊藤
伊藤

今回の取材記事担当は立命館大学2年伊藤悠真です。よろしくお願いします!


どんな会社?

提供:(株)ケー・エフ・シー

株式会社ケー・エフ・シーは、建設・土木分野における資材の製造・販売および施工を行う企業です。構造物の耐震補強や設備の取り付けに用いるあと施工アンカーなどを扱う「ファスナー事業」、トンネル・橋梁工事に不可欠なロックボルト等を提供する「土木資材事業」、インフラ維持に対応した補修・補強工事を担う「建設事業」の三つを展開し、高度な技術と実績で社会インフラの安全性と長寿命化に貢献しています。

企業理念

1.「私たちは信用を重んじ、社会の発展と豊かな環境づくりに貢献します。」
2.「私たちは時代のニーズに対応し、常に変貌する企業を目指します。」
3.「私たちは社員相互の信頼のもと、人材を育成し、希望に満ちた企業を創造します。」
4.「私たちは常に学ぶ姿勢を持ち、自己と企業の進歩、改善を目指します。」

ケー・エフ・シーは主に以下の3つの事業を展開しています。

土木資材事業

提供:(株)ケー・エフ・シー

日本では山岳トンネルを中心に「NATM(新オーストリアトンネル工法)」が広く採用されています。
ケー・エフ・シーはそのNATMを日本に初めて導入した企業で、現在もこの分野で業界をリードしています。

伊藤
伊藤

日本のトンネル工事って、安全性がすごく高いって聞いたんですけど、どうやって支えてるんですか?

日本のトンネル工事が高い安全性を誇る背景には、信頼性の高い資材と施工技術があります。当社では、国内シェア約60%のロックボルトなどを提供し、安定した供給体制で安全性に貢献しています。新設工事はもちろん、老朽トンネルの補修にも取り組み、インフラの長寿命化を支えています。

佐竹様
佐竹様

NATM(新オーストリアトンネル工法)ってなに ?

NATM(ナトム)は「新オーストリアトンネル工法」と呼ばれるトンネル施工技術で、周囲の土や岩盤の強さを活かしながら必要な部分だけを補強して掘り進める方法です。家の壁を全部鉄筋で固めるのではなく、柱や梁だけを強くして支えるイメージです。この工法は安全性が高く、効率よくトンネルを構築できるため、日本の多くの現場で採用されています。

ファスナー事業

提供:(株)ケー・エフ・シー

伊藤
伊藤

建物って、どうやって看板とか重たい構造物をしっかり固定してるんですか?

建物に看板や重たい構造物をしっかり固定するには、「アンカー」と呼ばれる金物を使います。当社のファスナー事業では、そうしたアンカーを取り扱っており、特に土木分野では約40%のシェアを誇っています。

佐竹様
佐竹様
伊藤
伊藤

そんなに多く使われてるんですか!特別な形とかもあるんですか?

取り付け対象や設置場所に応じて、さまざまな形状・性能のアンカーを使い分けています。例えば、地震に強いタイプや、狭小スペースに対応した小型タイプなど、用途に合わせた設計がなされています。
当社では、製品の開発から施工までを一貫して手がけており、現場のニーズに即した製品開発にも注力しているんですよ。

佐竹様
佐竹様

ファスナー事業では、建設・インフラ分野における耐震性の確保と施工効率の向上を支える製品・サービスを提供しています。あと施工アンカーの販売・施工をはじめ、鋼材や金物の製作・販売、耐震補強工事に必要な各種資材、電動工具、ビット類の取り扱いも行っています。さらに、構造物やインフラ施設の耐震補強工事にも注力しており、豊富な知識と経験を生かして、高品質な設計・施工を実現しています。

建設事業

提供:(株)ケー・エフ・シー

建設事業では、安全で快適なインフラ整備を支える多様な工事を手掛けています。トンネル内装や耐火・遮音壁の設置などの環境工事に加え、防護柵や落下防止設備といった安全施設工事の設計から施工まで一貫して対応しています。また、トンネル補強やビル外壁の補修といったリフレッシュ工事にも豊富な実績があります。さらに、トンネル内照明や防災設備、橋梁関連設備の工事など、公共インフラの安全性と機能性向上を目的とした施工を通じて、社会に安心を提供しています。

取材の様子

安全を支える細部へのこだわり

提供:(株)ケー・エフ・シー

伊藤
伊藤

ファスナー事業では、特殊製品もあるということでしたが、具体的にどのような製品があるのでしょうか?

例えば特殊な製品で言えば、「セーフティアンカー」というものがあります。通常はナットが振動などにより、緩んだり外れたりするするケースがあるのですが、ナット自体にも緩みにくい機能をつけており、万が一ナットが外れた場合でもネジ部に段差をつけているので安全な状態を保つように設計されています。緩みにくいことで点検の手間が減り、安全性も大幅に向上しています。

佐竹様
佐竹様
伊藤
伊藤

これらの製品は自社で開発・製造されているのでしょうか?

当社はファブレス企業のため、OEM生産を行っています。そのため、他社でも同様の製品を製造することも可能ですが、これらの製品に関しては、当社が培ったノウハウをもとに特許を取得しています。

佐竹様
佐竹様

なんだっけファブレス企業?OEM??

ファブレス企業とは、自社では工場を持たずに、製品の企画や設計だけを行い、製造は他の企業に委託する会社のことです。たとえば、ある会社がスマートフォンのデザインや機能を考え、その設計図をもとに別の会社が製造を担当する、という形です。これにより、工場の建設や設備投資にかかるお金を減らし、商品の企画や販売などに集中できます。最近ではこのようなスタイルの企業が増えています。

OEMとは、ある企業が別の企業のブランド名で製品を製造する仕組みです。つまり、「作る会社」と「売る会社」が違うということです。製造を担当する企業は、自分の名前ではなく依頼主の名前で商品を提供します。売る側は、自社ブランドとして製品を出せるので、製造の手間を省くことができます。両者にとってメリットがあるため、家電や自動車部品などで広く使われています。

信頼性と技術力
伊藤
伊藤

ケー・エフ・シーはこれまで数々の実績をお持ちだと伺っていますが、特に評価されている点はどこにあるのでしょうか?

そうですね。一番大きいのは「非常時に強い」という点だと思います。たとえば、トンネル火災や天井板の落下といった緊急事態にも、私たちは迅速に対応してきました。

佐竹様
佐竹様
伊藤
伊藤

それは大変な状況ですね。そんな時でも対応できるというのは、かなりの技術力と体制が求められますよね。

おっしゃる通りです。実はそうした緊急工事では、随意契約、つまり入札を経ずに直接契約をいただくケースもあります。それだけ信頼をいただいているということだと思っています。

佐竹様
佐竹様
伊藤
伊藤

非常時に「まず任せたい」と思ってもらえる企業というのは、なかなかなれないですよね。確かな実績と信頼があってこそですね。

随意契約・入札ってなに ?

随意契約とは、国や地方自治体が仕事や物品の調達を行うとき、複数の企業に競争させず、特定の企業と直接契約する方法です。たとえば、災害時の緊急対応や、専門性が高くて他にできる企業が少ない場合などに使われます。ただし、選ばれた企業に有利になりすぎたり、不正が起きたりしないように、使う場面や理由には厳しいルールがあります。

入札とは、国や自治体などが工事や物品の購入を行う際に、複数の企業から見積もりを集め、最も条件の良い企業と契約する制度です。価格が安いだけでなく、品質や実績、納期なども評価されます。入札は競争を通じてコストを抑え、公平な契約を実現するために使われます。特に税金を使う事業では、透明性が重要なので、入札の仕組みが広く使われています。

DX化そして業界の現状とは
伊藤
伊藤

「建設業界もDX・ICTが重要」って聞いたんですけど、実際の現場ではどうなのでしょうか?

機械の自動化などDX・ICTの導入は徐々に進んでいます。しかし、緊急の道路復旧やトンネル補修など、即時対応が求められる現場では計画的なデジタル化が難しいのが現状です。
そのため、現場の状況から見ると、まだDX・ICT導入は「入口段階」と言えるでしょう。

佐竹様
佐竹様
伊藤
伊藤

 現場でのDX化・ICT化は難しそうですね。

実際のところ、現在は職人さんの経験や勘に依存している部分が大きいですね。また、IT人材の不足や、職人の高齢化・若手の減少といった課題も深刻です。
そうした中で、職人のノウハウをデータとして残す取り組みが、今後ますます重要になってきています。

佐竹様
佐竹様
伊藤
伊藤

どのように実現していくのでしょうか?

最近では、生成AIを活用して、職人の話や作業の流れを文字起こしし、ナレッジとして蓄積する取り組みが始まっています。将来的には、誰が作業しても一定の品質が保てるような仕組みづくりを目指しています。
DXやICTは、これからの建設現場を支える重要な鍵になると考えています。

佐竹様
佐竹様

社内にポスターを貼っていただきました!

今後の展望!
伊藤
伊藤

ケー・エフ・シーの今後について教えてください。

当社は日本のインフラ構造物を次世代へ確実に引き継ぎ、長期的に維持・保全することを目指しています。中期経営計画に基づき店舗展開や事業拡大も進めつつ、品質と安全性の向上に注力しています。60周年を迎えた現在もさらなる成長余地を強く感じています。今後も技術力の向上と経営理念の実現を両立させ、高品質なサービス提供を通じて持続可能な社会インフラの構築を推進していきます。

佐竹様
佐竹様
学生へのメッセージ!

佐竹様よりメッセージ

佐竹様よりメッセージ色紙を頂きました!

伊藤
伊藤

以上、株式会社ケー・エフ・シー(銘柄コード:3420)の取材報告でした!

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北田
北田

レポーター:甲南大学 3年 北田大夢
ケー・エフ・シー様はさまざまに分野でニッチトップをとている会社です。特に随意契約を、結んでいるため国からの信頼が厚いなと感じました今後の展望が楽しみです。

平川
平川

レポーター:甲南大学 3年 平川湧斗
普段よく目にするトンネルの裏側にはケー・エフ・シー様のアンカーがあるのだなと思うと、いつもと違う目線で見てしまうなと思いました。一つのアンカーに細かな配慮と技術が詰め込まれているという点が非常に興味深かったです。

木村
木村

レポーター:神戸電子専門学校 2年 木村帆天
ケー・エフ・シー様は、あと施工アンカーなどのファスニング技術で橋やトンネルを補強し、日本のインフラを支えてきた企業です。独自の施工管理システムで安全性と品質を高め、老朽化対策にも注力。これからも私たちの暮らしを守る取り組みに期待しています。

伊藤
伊藤

レポーター:立命館大学 2年 伊藤悠真
ケー・エフ・シー様は、トンネル補修をはじめとする確かな技術でインフラを支え、見えないところから国土を守る姿勢に感銘を受けました。これからも日本の安心と安全を陰で支える存在として、さらなるご活躍を期待しています。

取材協力:株式会社ケー・エフ・シー
取材レポーター:北田大夢(甲南大学 3年)
        平川湧斗(甲南大学 3年)
        木村帆天(神戸電子専門学校 2年)
        伊藤悠真(立命館大学 2年)
取材記事担当 :伊藤悠真(立命館大学 2年)
取材SNS担当 :平川湧斗(甲南大学 3年)
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企画・構成・撮影:株のトラ®

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