提供:(株)アシックス
取材日:2024年7月26日
①市場の枠を超える挑戦:アシックスのグローバル成長戦略
②テクノロジーで先を行くアシックス、足元から進化を起こす
③アシックスが描くスポーツの未来、新たなステージへ
今回の取材記事担当は大阪国際大学2年 藤山友汰です。よろしくお願いします!
アシックスの創業から現在に至るまでの歴史が、非常にわかりやすく展示されていました。オリンピック選手が使用したシューズなど、数多くの展示物がありました!あなたの憧れる選手が使用したシューズや道具を見つけることができるかもしれませんよ!
提供:(株)アシックス
アシックスは、日本発のグローバルフットウェアブランドです!アシックスは、1949年に創業者である鬼塚喜八郎さんが、戦後荒んだ青少年の育成に貢献したいという思いを実現するために、スポーツ事業への参入を決意し、鬼塚株式会社を創業しました。その後、1977年に「ASICS」と改名し、「健全な身体に健全な精神があれかし」という理念を掲げています!
アシックスの主力商品であるパフォーマンスランニングシューズは、エリートランナーから市民ランナーまで、多様なニーズに応える製品ラインナップを展開しています。
他にも、ファッション性やブランド力を強みとするスポーツスタイルやオニツカタイガー等のカテゴリーもあります。これらのカテゴリーでは主に高価格帯のスニーカーを展開しています。
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市場の変化に注目!
提供:(株)アシックス
アシックスは日本国内ではスポーツ用品メーカーとして広く認知されていますが、海外市場ではパフォーマンスランニングブランドとしての認知度が高いです。特に、ヨーロッパやオセアニアでは、アシックスのランニングシューズが高い評価を受けており、シェアNo1を誇っています。また、最近ではスポーツスタイルが非常に好調で、特に北米やヨーロッパで人気を博しています。
新興市場(インドや中国)での戦略
インドや中国などの新興市場でも、アシックスは積極的な展開を行っています。インドでは、ランニング人口が急増しており、アシックスは高品質なランニングシューズを提供することで、市場シェアの拡大を図っています。
インド市場についてお聞かせいただけますか?
インドは非常に魅力的な市場です。今年の1月に、アシックスがスポンサーをしているムンバイマラソンに参加してきました。今年は参加者が6万7000人もいましたよ。
それはすごいですね!インドの市場規模も大きそうですね。
はい、インドの人口は約14億人で、そのうち1億人以上がランナーだと言われています。これは非常に大きな市場です。ランナーだけで日本人の総人口ぐらいいますよ。
ブランドのイメージも重要ですよね?
その通りです。アシックスはインドでハイパフォーマンスブランドとしての地位を確立し、ランナーにとって憧れとなることを目指しています。
価格設定はどうされていますか?インドでは価格を下げる必要があるのでは?
ブランドイメージを下げないためにも価格を下げることはしません。グローバルな統一価格で提供しています。ランニング市場は経済の遅行指標と考えています。経済成長に伴いボリュームゾーンである中間所得層の健康志向が高まっていき、ランニング人口も増えていくと予想しています。
長期的な視野での戦略ですね。とても興味深いです。
中国市場も!
中国市場では、今後の高齢化社会への転換に伴い、政府主導の運動推進が始まっています。そこに対して、健康的なライフスタイルを提案するマーケティング戦略を展開しています。
取材の様子
NEXT アシックスの技術力がスゴイ!
アシックスの成功の背後には、卓越した技術力と綿密な研究開発があります。特に、神戸にあるスポーツ工学研究所が重要な役割を果たしています。この研究所では、最新のテクノロジーを駆使して、製品の性能を向上させています。
神戸のスポーツ工学研究所について、具体的にどのような研究が行われているのか教えていただけますか?
私たちの研究所では、主にランニングシューズの開発に取り組んでおり、なんと100人以上の研究者が在籍しています。最新のセンサー技術やトラック施設を駆使して、ランナーの動作データを収集・分析しています。
100人以上の研究者がいるんですね!それだけの人員で、どのくらいのデータを収集しているのでしょうか?
驚くかもしれませんが、100万件以上の足型データや約10万件の人の動作データなどをビックデータとして持っています。これらのデータを基に、最適なシューズの設計を行っています。
それはすごい量のデータですね!そのデータはどのように製品開発に役立てられているんですか?
収集したデータを徹底的に分析し、ランニングシューズのデザインや性能の向上に役立てています。さらに、研究所内にはトラックやシミュレーション装置が完備されていて、実際のランニング環境を再現してシューズの性能を詳細にテストしています。
シミュレーション装置まであるのですね!神戸のスポーツ工学研究所がアシックスにとってどれほど重要な役割を果たしているのか、よく分かりました!
足が疲れにくいシューズ、探しています。
アシックスのシューズで足が疲れにくいのは次のような理由があります!
クッション性とプロテクション
足や膝に優しい設計で、長時間履いても疲れにくいです!
バウンス機能
弾むような履き心地で、歩行やランニング時のエネルギーを節約できます!
データに基づく設計
豊富な足型データを活用して、個々にフィットするシューズを提供しています!
テクノロジーと品質
技術力と品質で信頼性の高いシューズを提供し、快適さを実現しています!
アシックスの独自技術であるGEL技術は1980年代に初めて開発されました!靴底に搭載されている特殊なゲル素材は多くのシューズに搭載されています!
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チャネル戦略
アシックスの販売チャネルは大きく分けてホールセール(用品店等)、リテール(直営店)、イーコマースの3つに分類されます。現在の売上比率は、ホールセールが64%、リテールとイーコマースのDTC(中間業者を通さずに消費者へ直接商品やサービスを販売するビジネスモデル)が36%を占めています。アシックスは2026年までにこの比率を6:4に持っていくことを目標としています。
どのようにこの売上比率の目標を達成してくのでしょうか。
連結ベースでは既にほぼ6:4の割合となっていますが、この比率は地域によってバラツキがあります。そのため、地域特性や外貨規制等を踏まえた施策を打つ必要があります。例えば日本や欧州ではイーコマースの率が低いため、これを引上げていくことが必要だと考えています。また、インドや中国等の新興国での成長にはスピード感が重要なため、地元のホールセーラーと協業し展開するという方法を取っています。
日本は海外に比べ近くの販売店で気軽にアシックスの商品を購入することができるため、イーコマース販売率が低いという特徴があります。一方で、DTCにより直接顧客とタッチポイントを持つことはマーケティングの観点から重要であり、イーコマース販売の強化は重要と考えています。
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アシックスは在庫管理とサプライチェーンの最適化にも力を入れています。在庫回転期間(DIO)を短縮するための取組みに注力しており、2026年までにDIOを140日未満にする目標を掲げています。この改善により、キャッシュフローの効率化や在庫の陳腐化防止を図り、利益率の向上を目指しています。
アシックスの在庫回転期間の短縮について教えてください!
2023年の170日から2026年までに140日未満に短縮することを目標にしています!
具体的にはどのような施策を実施しているんですか?
例えば、需要予測の精度向上や輸送手段のベストミックスの追求があります。また、本社が発注内容をレビューする仕組みを導入して、過剰な生産を防いでいます。
それは興味深いですね。具体的なエピソードはありますか?
はい!2024年1月にベトナム製造拠点を視察しました。ベトナムはグローバルなフットウェアの一大製造拠点であり、現在まさにサプライチェーンの最上流から最下流まで一つずつ見直しを図っているところです。
成果はどうでしたか?
早速成果が出始めていて、2024年第1四半期にはDIOが135日に短縮されました。掲げている140日未満という目標は達成できると確信しており、これはアシックスの今後の更なる成長につながるものだと考えています。、短縮されるほどキャッシュフローが向上し利益率の大幅な引上げが期待されます。
経営効率を高める、大きな成長の可能性があるんですね。
社内にポスターを貼っていただきました!
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ビジョン2030
2030年に向けた長期的なビジョンとして、3つの事業ドメイン(製品、サービス、コミュニティ)を連携させ、デジタル技術を基盤とした社会価値の提供を目指しています。アシックスは単なるスポーツ用品メーカーにとどまらず、健康とウェルネスを包括的にサポートする企業へと成長しようとしています
提供:(株)アシックス
健康産業やウェルネス分野への展開
ランニング愛好者向けウェブサイト等を手掛ける事業の買収や、トレーニング管理アプリの開発など、デジタルとスポーツを融合させた取り組みを進めています。そこから得たデータを活用し、顧客とのデジタル上でのタッチポイントを増やして、ランニングシューズのみならず一人ひとりのお客様にとって最適なサービスや商品を提供できる機会を増やしていきます。これにより、ランニングシューズだけでなく、健康産業やウェルネス分野でも存在感を発揮することを目指しています。
辻上様よりメッセージ
以上、株式会社アシックス(銘柄コード:7936)の取材報告でした!
レポーター:甲南大学 3年 北田大夢
アシックスさんは在庫管理の回転が早いことや陸上競技場を持つなど様々な他者ができないことをされているなと思い、今後の進展が楽しみです。
レポーター:甲南大学 3年 平川湧斗
在庫回転期間を短尺するための工夫をされていたり、ホールセールとECサイトのどちらも活用して経営効率を高めている点に驚きました。日本市場だけでなく、海外市場でもさらなる活躍を目指されているアシックスさんの今後が楽しみです。
レポーター:名古屋大学 2年 稲葉琉斗
アシックスさんのあえてニッチなスポーツの専用シューズを作ったことをきっかけに多くの人に知れ渡ったという歴史に驚きました。また今後のアシックスさんのブランド価値向上の戦略にも注目して行きたいです!
レポーター:大阪国際大学 2年 藤山友汰
アシックスさんの取材で、技術革新とスポーツ愛に基づく製品開発への情熱を深く実感しました。「健全な身体に健全な精神があれかし」という理念のもと、最先端技術を活用しつつも人々の健康やパフォーマンス向上に寄与する姿勢に感銘を受けました。社員の皆様の熱意や専門知識の深さに触れ、私自身も学びを深める重要性を再認識しました。今後、自分の目標達成や社会貢献の在り方について考えを広げる良い機会となりました。
取材協力:株式会社アシックス
取材レポーター:北田大夢(甲南大学 3年)
平川湧斗(甲南大学 3年)
稲葉琉斗(名古屋大学 2年)
藤山友汰(大阪国際大学 2年)
取材記事担当 :藤山友汰(大阪国際大学 2年)
取材SNS担当 :片野源也(名城大学 3年)
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