
提供:シスメックス(株)
取材日:2025年10月10日
① シスメックスの強み
② 医療の未来を変える!?シスメックスのAI活用とは
③ グローバル体制と品質維持

シスメックス株式会社
上席執行役員 飯塚 健介 様 (左から4番目)
IR部長 市川 直哉 様 (左から2番目)
IR部 久保山 健 様 (左から1番目)
他学生メンバー (後述)
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業種
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精密機器
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本社所在地
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兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号
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市場区分
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東証プライム
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銘柄コード
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6869
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現在価格
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今回の取材記事担当は甲南大学 1年 古澤 繰実です。よろしくお願いします!
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「グローバルな販売・サービス体制」
提供:シスメックス(株)
「世界の健康を支える医療機器メーカー」です。
血液検査を中心に、がん・感染症などを早期に発見できる医療機器を開発・販売しており、世界190以上の国や地域で事業を展開しています。
海外での売上が全体の約8割を占め、最も基礎的な血液検査(ヘマトロジー分野)でグローバルシェアNo.1を誇る企業です。
シスメックスは、医療機器の研究から製品を作って販売するまで、ほとんどの工程を自社で完結しています。
原材料の仕入れから生産・販売までの流れを管理する「サプライチェーン」、そして研究・開発から販売、アフターサービスまでを
通して製品の価値を高める「バリューチェーン」の両方を自社で構築しています。
つまり、シスメックスは医療機器をつくる・届ける・支える”すべてを自分たちの力で行う会社です。
「世の中の人を幸せにする」「健康寿命を伸ばす」という思いのもと、病気の予防や早期発見、治療効果の向上に貢献しながら
医療の可能性を広げ、世界中の人々の健康と幸せを支えています。

取材の様子
「Sysmex Way」は、シスメックスグループが社会に存立する意義(Mission)、大切にすべき価値観や経営姿勢(Value)、シスメックスグループで働く一人ひとりが遵守すべき心構え(Mind)で構成されています。また、「Shared Values」は、各ステークホルダーの皆様に対する具体的な提供価値を宣言しています。
シスメックスの立ち位置
医療機器業界は、工学・医学・ITが融合した最先端の産業です。
薬機法や特許などの厳しいルールのもとで開発が進められ、「診断」「画像」「治療」「手術支援」などの分業が行われています。
その中でも、病気の早期発見や治療の効果向上に欠かせない“診断分野”で世界をリードしているのがシスメックスです。
特に、病院で行われる検体検査の中でも、血液の状態を調べる「ヘマトロジー」、血の固まりやすさを調べる「血液凝固検査」、尿を調べる「尿検査」の3つの分野で、世界No.1のシェアを持っています。
どうしてここまで安定した成長ができるのでしょうか?
シスメックスの特徴は、「検査の機器」と「専用の試薬・サービス」をセットで提供していることなんです。
機器の販売が全体の2割で、残りの8割は試薬や保守サービスなど。だから長く安定した収益を得られる仕組みになっています。
機器を売って終わりじゃなくて、使い続けてもらうことで安定しているんですね。
そうなんです。それに、試薬はシスメックス専用のものなので、他社のものに簡単に替えることができません。これも大きな強みのひとつです。
なるほど。海外でも多く使われていると聞きました。
はい。売上の約8割は海外です。
インドや東南アジアにも生産拠点を広げていますが、日本と同じ品質をしっかり守っています。
医療機器の分野って、すごく専門的なイメージがあります。
その通りです。医療機器は、工学・医学・ITなど、いろんな分野の知識が必要な“複合産業”なんです。
シスメックスはその中でも「検査・診断」の分野に強く、世界的にも中心的な役割を担っています。
ビジネスも仕組みも、すごくしっかりしているんですね。
はい。経営も安定していて、営業利益率は約17%(2024年度末時点)、自己資本比率は約75%ほどあります。
技術力と安定した仕組み、この両方がシスメックスの強さなんです。
今後、シスメックスではAIをどのように活用していく予定ですか?
現在、AIを使って“医療の新しい価値”を生み出せないかと研究を進めています。
たとえば血液検査では、数値結果だけでなく、その背後にある膨大なデータをAIに学習させることで、より正確で幅広い分析ができる可能性を探っています。
なるほど。AIが過去のデータを分析することで、これまで見えにくかった傾向などを見つけられるかもしれないんですね。
そうなんです。AIがデータの中からわずかな変化やパターンを捉えることで、診断の精度向上や予防医療の発展につながる可能性があります。
また、AIを使って検査機器の状態を常にチェックし、故障を未然に防ぐなど、安定稼働のサポートにも活用しています。
医療の分野だけでなく、検査機器の管理にもAIが役立っているんですね。
はい。AIの活用によって、医療の現場をより正確で効率的に支えることができるようになります。
今後も研究を重ねながら、AIの力で新たな可能性を広げ、世界中の人々の健康に貢献していきたいと考えています。
世界190カ国以上で展開していると、やっぱり海外での運営は大変なんじゃないですか?
そうですね。シスメックスでは、基本的に日本・北米・欧州・中国・アジアの五拠点体制をとっています。それぞれの拠点が地域を統括して、そこから周辺国に事業を広げていく仕組みです。
すごくグローバルですね。でも国ごとに文化や考え方も違いますよね。
まさにそこが一番難しいところです。働き方も言葉も人種も文化も違う。
たとえば、デザインの「色使い」ひとつとっても、国によって印象が全く違います。
ですから私たちは、それぞれの地域に合わせたやり方で展開しています。
なるほど。現地に合わせることを大切にしているんですね。
はい。そして大きな特徴は、全ての拠点のトップが現地の人であることです。
グローバル企業にしては日本人の駐在員が極端に少ない会社なんですよ。
工場も現地出身の人がトップを務めていて、現地のニーズや要望にしっかり対応できる体制を築いています。
“日本の会社”でありながら、“現地の会社”として機能しているんですね。
そうですね。
私たちは単に海外に進出するだけでなく、現地の人と一緒に成長していくことを大切にしています。
シスメックスは世界190以上の国や地域で事業を展開していますが、機器製品の組み立ては主に日本で行っているんですか?
はい、これまでは国内中心でしたが、今後はインドでも生産します。
品質を保つために、「日本で作る」というこだわりがあったんです。
なるほど。でも最近は、国によっては国産品を優遇する動きもありますよね。
そうなんです。今は世界的に、特に新興国では「自国で作った製品を使おう」という流れが強まっています。
そこで私たちも、インドでの組み立て生産を始めました。
ついにインドでも作り始めたんですね! 日本品質をどうやって保っているんですか?
そこが一番大事な部分です。インドではコアとなる人材を採用し、日本で短期研修を行うことで、シスメックス流のものづくりをしっかり学んでもらっています。
そして、その日本の生産方法をそのままインドに持ち込むことで、現地でも日本と同じ品質を実現しています。
まさに“日本品質のグローバル展開”ですね。
はい。
世界中どこで作っても同じ品質を提供できるように、これからも人づくりと技術伝承に力を入れていきます。

ヘマトロジー分野の小型検査機器(インドで組み立て生産しているモデル)
提供:シスメックス(株)
シスメックスは、「人々の健康寿命を延ばす」ことを目標に、2033年に向けて3つの戦略を進めています。
既存事業の強化
これまで培ってきた技術をさらに進化させ、より正確で効率的な検査・診断を実現します。血液検査を中心に、臨床現場での信頼性を高める取り組みを続けています。

提供:シスメックス(株)
新興国への事業展開
医療がまだ十分に届いていない新興国にも、日本品質の検査技術を届ける体制を拡大しています。インドへの生産移管やアフリカでの販売・サービス体制強化を進めながら、世界中の人々に安全で高品質な医療を提供できる仕組みを整えています。

提供:シスメックス(株)
新規事業への挑戦
川崎重工業株式会社とタッグを組みリリースした、手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」など、これまでにない医療の形をつくる新規事業にも挑戦しています。現在は実証段階にあり、今後は世界への展開を見据えています。また、アルツハイマー病や遺伝子検査など、“まだ分からない領域”にも挑戦し、診断の可能性を広げています。

提供:シスメックス(株)
こうした取り組みを通じて、シスメックスはAIやライフサイエンスなどの先端技術、そして他社との連携を取り入れながら「未知の領域に挑む」姿勢で医療の未来を切り開いていきます。
(参考資料:https://www.sysmex.co.jp/corporate/activities/growth-strategy.html)

社内にポスターを貼っていただきました!
詳しいIR情報はこちらから!

飯塚上席執行役員よりメッセージ
以上、シスメックス株式会社(銘柄コード:6869)の取材報告でした!
レポーター:甲南大学 4年 北田大夢
シスメックスさんの話を聞いて、「シスメックスにしかできないことをやる」という姿勢にすごく感動しました。そのためにはリーダーが理念や未来を伝えて、メンバーに希望を見せることが大事だと感じました。
レポーター:神戸電子専門学校 2年 木村帆天
今回の取材を通して、シスメックスさんが「検査を通じて命を支える」という使命を大切にしていることが印象に残りました。普段病院で検査を受けるだけのわたしたちですが、その裏にはシスメックスさんのような企業や製品があって初めて医療が成り立っているのだと実感しました。見えないところで人の命を支える姿勢に深く感動しました。
レポーター:大阪国際大学 3年 藤山友汰
医療技術の進歩を感じました。シスメックスさんの製品は、より便利で早く正確に進化しており、その技術力に驚きました。収益モデルも安定していて、まさにプリンターとインクのような強いビジネス基盤が印象的でした。
レポーター:甲南大学 1年 古澤繰実
シスメックスさんの取材を通して、社員一人ひとりの考えを大切にするだけでなく、事業を展開する国や地域の文化も尊重する姿勢に感銘を受けました。グローバルな視点で物事を考える大切さを学びました。
取材協力:シスメックス株式会社
取材レポーター:北田大夢(甲南大学 4年)
木村帆天(神戸電子専門学校 2年)
藤山友汰(大阪国際大学 3年)
古澤繰実 (甲南大学 1年)
取材記事担当 :古澤繰実 (甲南大学 1年)
取材SNS担当 :平川湧斗(甲南大学 4年)
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