
取材日:2025年6月16日
① 生涯働き続けられる業界に
② 飲食業界でのブランドを確立する!
③アメリカのような会社を目指す

クックビズ株式会社
代表取締役社長 藪ノ 賢次様
他学生メンバー (後述)
業種
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サービス業
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本社所在地
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大阪府大阪市北区芝田2丁目7番18号 LUCID SQUARE UMEDA 8階
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市場区分
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東証グロース
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銘柄コード
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6558
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現在価格
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今回の取材記事担当は関西学院大学 3年 山下奈々美です。よろしくお願いします!
クックビズ株式会社は、飲食業界の転職支援を行っている会社です。スキルを積んだ方がキャリアアップできるように、利用者と企業のマッチングを行っています。

社長の想い
飲食業界は一般的に収入がそれほど高くないため、結婚や出産を機に他の業界に転職するケースが多く存在していました。こういった人生の大きなイベントの際に耐えられるほど、十分な給料を受け取れる業界にしていきたいと思い、現在の転職支援サービスに取り組んでいます。

転職サービスといっても飲食業界に絞っているのは珍しいですよね?
そうですね。多くの人材会社は業種問わず幅広く取り扱っているところが多いと思います。


そもそもなぜ飲食業界にしたのですか?
飲食業界は慢性的な人手不足が課題となっており、一見人材紹介にはもってこいのように思えますが、他の業界に比べて収入が低いですよね。そのため、他社は報酬が少ないから参入していなかったんです。だれも参入していないならという想いと、飲食業界の人を助けたいという想いでこの業界の参入を決めました。

成功報酬型について
クックビズは、求人広告のほかに人材を企業に直接紹介する形式もとられています。このモデルは「人材紹介」と呼ばれ、紹介された人が実際に採用・入社された場合に限り、企業から紹介料が支払われます。
このような仕組みを「成功報酬型」といいます。
紹介料は、採用された方の年収の約3割が相場となっています。例えば、年収300万円なら紹介料は90万円になりますね。このように紹介料は年収に比例するため、クックビズさんは難しい業界に参入したことがわかります。

飲食業界が”ブルーオーシャン”だったとはいえ、参入するのはなかなか勇気が必要だったと思います。それでも飛び込んだのはやはりニーズがあったからですか?
そうですね。人手不足という深刻な課題があったからこそ、私達はそこに価値を感じて
長年事業をやってきました。


なるほど!初めは利益を出すのが難しかったと思いますが、やはり苦労されてきたのでしょうか?
そうですね。創業当初は資金も人も足りず、自分自身で毎日足を運んで営業に出向いていました。そこで専門学校と連携して学生アルバイトの紹介からはじめたのです。


はじめはアルバイト紹介を行っていたのですね!
そうなんです。いきなり正社員はハードルが高いと思いまして、入口の敷居が低いアルバイトから始めました。
当時クックビズは無名の会社だったので、自分達よりも権威のある専門学校とタイアップをすることで、私達はその名前を借りて営業に出向き、専門学校は独自のサービスを取り入れていると学生にアピールするというウィンウィンの関係を築くことを意識しました。これが上手くはまり、事業が立ち上がったのです。


そんな創業秘話があったのですね!そこから1万社の取引実績までいったのですか?
はい。実を結ぶまで長かったですが、諦めず、地道に事業や取引データを積み重ねてきた結果1万社という取引先を抱えることができました。


継続と努力の結果ですね!凄いです!
ユーザーからの意見はどうやって反映しているの?

実際に利用したユーザーからの声はどのように反映されているのでしょうか?
LINEを通じてフォローアップを行うことで、利用者の声を反映させています。利用者が実際に働き始めて1,2か月経った頃にヒアリングを行い、もし嫌なことがあればその都度相談していただいている状況です。このヒアリングを行うことで、お店に対する情報も集めることが出来るため、各店舗の実態を把握することができます。


なるほど!しかし、そのような仕組みだとユーザーが話を誇張したり、事実ではないことを伝えたりする状況が起きてしまうかと思うのですが、何か対策はとられているのでしょうか?
もちろんユーザーの話を全て鵜呑みにするのではなく、お店側にもヒアリングを行っています。ユーザーとお店が対等な関係を維持することは、このサービスを持続的に続けていくことに繋がるのです。


取材の様子
クックビズの強みとは

クックビズさんの強みについて教えてください。
オールインで全てのサービスが利用できることですかね!
クックビズは登録されている企業数が1万社、人材が約30万人とかなり多いため、1つ登録するだけで全てのサービスが使えるのです。

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
クックビズは人材を紹介するだけでなく、求人の作成から、面接日程の調整、内定後のフォローまでを一括で支援する仕組みを提供しています。こうした業務代行サービスは「BPO」と呼ばれます。

なるほど!1つ登録するだけで全てのサービスが使えるのは便利で顧客にとっても嬉しいですね!
やはりこういったオールインのサービスは少ないのでしょうか?
そうですね。他社のサービスでは、人材紹介だけだったり大阪展開のみだったり、サービスや地域が限定されているものがほとんどです。


なるほど!これはクックビズさんが膨大な取引数を持ち、長く事業を継続して業界内でブランドを確立したからこそできているのですね!凄いです!

ただ、1点気になったのが、「十分な給料をもらえる業界にしていきたい」という想いでこの事業を行っているとのことでしたが、実際この事業でその目標は達成できるのか疑問に感じました。この点に関して、どのようにアプローチしているのでしょうか?
クックビズは“転職サービス”を行っているので、すでにスキルを身につけた方がステップアップするための手助けを担っています。もちろん、はじめからミシュラン3つ星といったレベルに合っていないお店を紹介することはありませんが、その時の顧客の希望年収に合った、少し高い技術力が求められるレストランを紹介しています。そうすることで、金銭面でも技術面でもキャリアアップに繋げることができ、結婚や出産などコストがかかるビックイベントにも対応できるほどの年収を手に入れることができるようになるのです。


なるほど!少しずつレベルアップしていって最終的に生涯働き続けられるほどのスキルと収入を得られるようになるのですね!凄いです!
海外展開について

外国人の採用支援はされているのでしょうか?
はい。特に「特定技能」というビザ制度を活用して、日本で働きたい外国人と企業をつないでいます。

特定技能とは
外国人が日本で働けるようにするためのビザ(日本で仕事をするための許可)のこと。日本では、農業、建設、介護といった様々な業界で人手不足が深刻化しているため、「特定技能」という制度が作られました。
ポイントは3つ
①仕事のために日本に来ている。②ある程度の技術や日本語力が必要である。③人が足りない業種でのみ働くことができる。

外国人の方は、どんな思いで日本に来ているんでしょうか?
多くの方が「家族のために稼ぎたい」と来日します。また、日本の仕事を学んで、母国の発展のために活かしたいという人も多いです。発展途上国の方はかつての経済成長期の日本のように「自分の手で国を大きくするぞ!」といった熱量のある方も非常に多いんです。


なるほど!熱量の高い方が多いのですね!
そうなんです。やはり食をグローバル展開する際に重要なのは、日本のチェーンストアマネジメントをどれだけ理解しているか、どれだけ日本のレストランを再現できるかにかかっていると思っています。そういった時に、「自分の母国を発展させる」といった気概のある特定技能の方に一生懸命日本で学んでいただき、その後は協力しながら互いの国を盛り上げていける関係性になれたらと思っています。


お互いに協力的な関係になれたら素敵ですね!
チェーンストアマネジメントとは
沢山の同じようなお店(=チェーン店)をうまくまとめて運営する方法のこと。
(マクドナルドやセブンイレブンがこのチェーン店に値します。)
これらのチェーン店を「どこでも同じようなサービスや商品を出せるように」「無駄なく働けるように」「売上がよくなるように」考えて動かすのを「チェーンストアマネジメント」と呼びます。

社内にポスターを貼っていただきました!
将来的には、複数の飲食ブランドを横断的につなげていく「連邦経営」の構想もあります。
それぞれの店舗や企業が独立しながらも、人材育成やシステム面では連携することで、業界全体の底上げを目指しています。


連邦経営とありましたが、もう少し詳しく伺えますか?
はい。飲食店同士で連携しながらも、同じ志を持ち、共通の教育体制やDX基盤を持つ形を構想しています。


一社で完結せずに、飲食店同士連携しながら、グループ一体として育つイメージですね!
そうですね。クックビズを通して、業界を横に繋げることで持続的に成長していける仕組みを作りたいと思っています。


藪ノ賢次代表取締役よりメッセージ

以上、クックビズ株式会社(銘柄コード:6558)の取材報告でした!

レポーター:甲南大学 4年 北田大夢
クックビズさんの取材を通して、まず印象に残ったのは「誰も参入してこなかった分野」に果敢に挑戦されてきた姿勢です。アルバイトをしながら起業し、ゼロから事業を立ち上げたエピソードには大きな勇気と行動力を感じました。
また、今では上場企業として多くの実績を持つクックビズさんにも、過去には“暗黒時代”と呼べるような苦労の時期があったことを知り、どんな成功にも試練と継続の裏付けがあるのだと改めて実感しました。
挑戦の先にある成長や、泥臭くも前向きな姿勢に心を動かされました。今後のさらなる発展にも注目したいと思います。

レポーター:神戸電子専門学校 2年 木村帆天
今回の取材では、社長の熱意に心を打たれました。「飲食業界をもっと魅力的にしたい」という強い想いが伝わってきて、言葉の一つひとつに重みがありました。人材紹介にとどまらず、「働く人の人生に寄り添う」という姿勢にを感じ、熱意を持ち続けることの大切さを、改めて学ぶ貴重な時間でした。

レポーター:関西学院大学 3年 山下奈々美
今回の取材では、利益率が低く、当時はなかなかどこの企業もやろうとしなかった飲食業界に果敢に挑戦し、何もない状態から事業を立ち上げたというエピソードには、社長の熱い想いを感じ、胸を打たれました。事業がなかなか実らないながらも長年地道に事業を継続したことで、今では「飲食の転職サービスといえばクックビズ」と言われるほどブランドのある企業になれたということで、努力と継続の大切さを実感しました。今後の更なる活躍にも期待しています。
取材協力:クックビズ株式会社
取材レポーター:北田大夢(甲南大学 4年)
木村帆天(神戸電子専門学校 2年)
山下奈々美(関西学院大学 3年)
取材記事担当 :山下奈々美(関西学院大学 3年)
取材SNS担当 :平川湧斗(甲南大学 4年)
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企画・構成・撮影:株のトラ®
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